前回の記事では今の職場の状況を整理しながら、なぜ自分は転職したいのかという理由を深掘りする内容を解説しました
実際に転職軸マップを作ってみて、こんなふうに感じた方もいるかもしれません
- 自分の考えを言葉にするのが、思っていた以上に大変だった
- 特に転職理由を深掘りをして書き出すのが正直しんどかった
- 今の会社の勤務条件について意外とちゃんと把握できていなかった
とはいえ、自分の言葉でしっかり考え、書き出し、整理したことで、「転職」がより具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか
もしまだ読んでいない方はリンクを貼っておきますので、ぜひそちらから先に読んでいただくのをおすすめします
転職経験者が語る:転職活動を始める前にやっておくべき事前準備を徹底解説!転職軸マップ作り篇①
さて、ここから本題に戻ります
前回は転職の軸を作るうえでの「骨組みづくり」のような作業をしていただきました
例えるなら家を建てるときに使う資材や木材を揃えて、柱や土台を組み立てたような段階です
ただそれだけでは家はまだ未完成です。実際の家であれば風も雨も防げませんよね
つまり今回は、組み立てた骨組みに対して内装を整えて暮らせる空間にしていくようなパートです
転職軸マップを使える形にまで仕上げていきましょう。完成は間近です
そこでこの記事では、引き続き転職軸マップ作成の後半パートを解説します
自分オリジナルの転職軸マップを完成させて、転職活動に自信をもって踏み出せる準備を整えましょう
再掲)定義:転職軸マップとは
ここで前回の復習もかねてこれからやることを整理しておきます
以下の4つの項目について深く考え、自分の言葉で書き出していきます。この記事では「3と4」をやっていきます
- 今の自分の現状を整理する(学歴、職歴、勤務条件)
- 転職で実現したいことを明確にする(転職によって得たいことを言語化)
- 自分自信を深く理解する(悩み、得意、苦手、成果を書き出し自己理解を深める)
- 転職の方向性とゴールを決める(理想の業界、職種、働き方の具体化)
前回に引き続きかなり地味な作業です。本業と並行して進めるのは、ぶっちゃけしんどいです。途中で嫌にもなります
それでも、この準備をやることで、理想の転職にぐっと近づけるのは間違いありません。私自信も身を持って経験していますので、はっきりそう言えます
そして、これは後々に活きてきますが応募書類や面接準備も格段に楽になり、内容の質も高まります
しつこくてすみません…ですが大事なことなので何度もお伝えしたいです
前提:今回は、転職軸マップの3と4を作るポイントを解説!
ここではよりパーソナルな部分に踏み込んでいきます
今の会社での悩み、仕事での得意や苦手といった内容を自分の言葉で書き出していきます
そして最後の転職の方向性とゴールを決めます
特に「自分が理想とする働き方」をつきつめていき、自信をもって転職活動をスタートできる土台が整っていきます
今回の「転職軸マップの3と4」の項目は「転職軸マップの1と2」同じく、30分や1時間でサクッと終わるものではありません
理想は1日しっかり時間をとることですが、難しい方もいると思います。そんな場合は数日に分けてでも構いません。少しずつ自分と向き合う時間を確保して取り組んでみてください
それではさっそく「転職軸マップの3」の解説から始めていきます
解説:転職軸マップ 自分自信を深く理解する(悩み、得意、苦手、成果を書き出し自己理解を深める)
STEP0:まず何を書いたらいいの?
ここでは、今の会社で感じている悩みや、仕事における得意・苦手なことを自分の言葉で書き出していきます
具体的には以下のような問いに答える形で整理してみてください
- 今の会社で何に悩んでいるか?(仕事?人間関係?それ以外?)
- 仕事をするうえで何を大切にしているか?(逆に大切にしないことは?)
- 今までの仕事であげた成果は何か?
この項目では、自分自身の「確信」に近づくための大事なステップになります。なので、ぜひじっくり時間をとって自分の言葉で書き出してみてください
それぞれのポイントについて、このあと丁寧に解説していきます
STEP1:今の会社で何に悩んでいるか?(仕事?人間関係?それ以外?)
具体的には、以下のような問いに答える形で書き出して整理してみてください
- 今悩んでいることは何か?
- なぜそのことに悩んでいるのか?
- その悩みを解決する方法はありそうか?
- その悩みが解決されたら仕事はもっと楽しくなりそうか?
特に悩みを解決する方法については「自分の力でどうにかなりそうか?」それとも「今の会社にいる限りは解決が難しいか?」という2つの視点で分けて考えてください
以下、例をご紹介しますので参考にしてください
- 残業が減らせない→業務の優先順位やPCスキルを向上させることで改善できる余地あり
- 有給休暇が取れない→事前に申請し、上司と相談することで改善できる余地あり
- 社内のチーム内で発言しにくい→事前にメモを準備するなどして改善できる余地あり
- 評価制度が不透明で成果が給与に反映されない→会社組織が変わらないと難しい
- テレワークの導入もなく働き方が柔軟性にできない→会社組織が変わらないと難しい
- パワハラや社内の人間関係にストレスを感じている→一個人が人を変えることは難しい
たとえば抱えている悩みが自分の力ではどうにもならないときは、転職を前向きに考えても良いかもしれません
そのまま今の環境に居続けても不満や悩みを抱えながら働くことになります
果たしてそれが自分が望む働き方や人生の形なのか。ぜひ一度立ち止まって深く考えてみてください
STEP2:仕事をするうえで何を大切にしているか?(逆に大切にしないことは?)
具体的には、以下のような問いに答える形で書き出して整理してみてください
- 仕事をするうえで大切にしていること
- 仕事をするうえで大切にしていないこと
もし思い浮かばない場合は、身近な人を思い浮かべてみるのがおすすめです
- こういう人みたいになりたい
- こういう働き方はしたくない
というイメージを持つことで、より自分の価値観が浮き彫りになります
以下、例をご紹介しますので参考にしてください
- 課題や問題解決において感情的にならず冷静な判断をすること
- 常に学びながら成長を求め続け、過去最高の自分を目指すこと
- 他責にはせず、自分で進むべき道を選択し新しい挑戦をすること
- 誰がやっても結果が同じになる仕事をすること
- 現状のままで満足すること
- 指示待ちで自分から動かないこと
このように、「自分は何を大切にして働いているのか?」を明確にすることで、このあとのパートで書き出す「仕事の成果」と自然につながってきます
たとえば
「私は〇〇を大切にしながら仕事に取り組み、その結果〇〇という成果を出すことができた」
といったように大切にしていることと成果を結びつけることで、説得力のある転職理由や自己PRにもつながります
STEP3:今までの仕事であげられた成果は何か?
具体的には、以下のような問いに答える形で書き出して整理してみてください
- 仕事でどういう成果をあげたか?
- それが成果だと考える理由はなにか?
- 成果をあげる過程で苦労したことや失敗したことはなにか?
- そこでなにを学び、成果につなげることができたか?
成果といっても規模の大小は気にしなくて大丈夫です。「自分にとってこれは成果だと思えること」を素直に書き出してみてください
もし思い浮かばない場合は、最近誰かに褒められたことや感謝されたことを思い出すと書くヒントになります
以下、例もご紹介しますので参考にしてください
- 担当クライアントで自社商品の取り扱い店舗数を新規で1,100店舗に拡大
- 過去のやり方にとらわれず社内外を巻き込んで提案を進めた
- 前例のない提案だったため、クライアントの納得を得るまでに時間がかかった
- 最初はなかなか受け入れられなかったが、論理的に説明しつつ熱意を持って何度も伝え続けた。最終的に信頼を得ることができ、今回の拡大につながった
ポイントは、仕事で挙げた成果が「STEP2の大切にしていること・していないこと」ときちんと結びついているかどうかです
こうしたつながりがあることで、内容に一貫性が生まれ、信ぴょう性も高くなります
ぜひSTEP2に何度も立ち返りながら「自分にとっての成果」を整理してみてください
解説:転職軸マップ 転職の方向性とゴールを決める(理想の業界、職種、働き方の具体化)
STEP0:まず何を書いたらいいの?
これが転職軸マップ作成の最後の項目になります
ここでは、これまでの内省をふまえたうえで未来に向けたイメージを整理していきます
以下の3つについて書き出します
- 興味・関心のある業界や業種
- 転職先の会社に求めること(仕事内容・勤務条件・給与条件など)
- 上記をふまえた転職のゴールや理想の働き方
これまでのSTEPでは自分の価値観や経験にしっかり向き合ってきました
今回はそこから視点を未来に移して「どんな働き方なら毎日が楽しく、人生が豊かになるのか」を自由に想像してみてください
難しく考える必要はありません。思いつくままでOKです
たとえば「こんな職場だったらワクワクする」「こんな働き方だったら仕事も頑張れる」といったイメージで構いません
これまで書いてきた内容を見返しながら、転職活動の方向性を定めていただければと思います
それぞれのポイントについて、このあと丁寧に解説していきます
STEP1:興味・関心のある業界や業種
具体的には、以下のような問いに答える形で書き出して整理してみてください
- 興味・関心のある業界や業種はなにか?
- その業界や業種で活かせそうな、自分の実績・スキル・強みは何か?
- もしその業界や業種に入社できたら、自分の強みをどう伸ばし、どんな経験を積みたいか?
- もしその業界や業種に入社できたら、5年後・10年後のキャリアプランをどう描くか?
ここでのポイントは「その会社に入った自分」を想像してみることです
「こういう業界で、こんな仲間と、こんな風に働いていたい」そんなイメージを持つことで、転職の方向性が明確になります
ここに至るまでの記事で、自分自身と向き合いながら多くのことを書き出してきたと思います。それらを見返しながら、自分の興味・関心のある業界や業種を考えてみてください
そして大切なことを1つお伝えします
実際のキャリア面談や面接では「なぜこの業界や業種に興味があるのか?」「今の仕事とどうつながるのか?」といった質問がされます
だからこそ、自分のことをよく理解していないと、答えに詰まってしまいます
でも、ここまで記事を読んで手を動かしてきた方なら、まだ悩みながらでも自然とイメージが湧き、言葉が出てきているはずです
どうか自信を持って「自分が本当に働きたい業界・業種」についてじっくり考えてみてください
STEP2:転職先の会社に求めること(仕事内容・勤務条件・給与条件など)
具体的には、以下のような問いに答える形で書き出して整理してみてください。また、それぞれ「内容+その理由」をセットで書き出してみてください
- 仕事内容
- 勤務地
- 勤務条件※就業時間・残業時間・在宅の有無といった時間軸で考えてください
- 給与条件
- 理想とする社風や企業理念
- どういう人と働きたいか
- 福利厚生
ここでのポイントは、ただ条件を挙げるだけでなく「なぜそう思うのか?」を言葉にしてください
たとえば給与条件について、こんなふうに書き出せます
- 希望年収は○○○万円(月給ベースでも書いておくとより現実的)
- 現職では再来年に昇格予定で、希望年収に近づく見込みがある
- 今までの成果や実績を転職先にしっかり伝えられれば評価されると考えている
- 希望通りにいかない場合でも〇〇〇万円までは許容範囲と考えている
このように「なぜその条件を望むのか」+「自分の現状と考え」が入っていると説得力が増します
また、すべての希望が必ずしも叶うとは限りません
ですので自分の中で「これだけは譲れない」「ここは妥協できる」という線引きをしておくことで、転職活動で迷わずに判断できる軸になります
このパートは「理想の働き方」を具体的に描くステップです。これまでの自己分析とあわせて、今の自分の状況をふまえながら現実的かつ前向きに考えてみてください
STEP3:上記(1・2)をふまえた転職のゴールや理想の働き方
最後に、STEP1・STEP2で書き出した内容をふまえて、「理想の働き方」や「転職のゴール」をまとめていきます
ここでは、第1候補〜第3候補まで考えておき、可能な限り選択肢に幅を持たせておくのがおすすめです
なぜなら、もし第1候補だけに絞ってしまいそれが難しそうになった場合、また一から考え直さなければならないからです
以下、例をご紹介しますので参考にしてください
- 業界:化粧品業界
- 業種:法人営業(新規顧客ではなく既存顧客の対応)
- 勤務エリア:①大阪・②愛知・③東京(全国転勤可)
- 給与を含む勤務条件:希望年収○○○万円・在宅勤務可・残業時間月○○時間まで
- 社風や理念:チャレンジングな組織文化で、お客様本位の価値観を大切にする
- 人間関係:他責にせず、前向きに仕事に取り組む人が多く、尊敬できる仲間と働ける
- 福利厚生:社宅制度あり、スキルアップ支援制度が整っている
このように書き出しておくことで、自分がどんな会社を探しているのかが一目で整理でき、求人の見極めも格段にラクになります
ここまで書ききれた方は、本当にお疲れさまでした。これで、転職活動を始める前の準備は完了です
まとめ:「転職」はこれからがスタート
転職軸マップを作る前と今とでは頭の中が整理され、自分が進みたい方向性が明確になったのではないでしょうか?
なにより「転職って何から始めればいいの?」という悩みや不安も少しずつ晴れてきたと思います
とはいえ、この転職軸マップは一度作ったら終わりではなく、何度でも見直してOKです。ライフステージや価値観が変われば、転職の軸も変わっていきます
当初書いたものから変わることが普通です
大切なのは何度でも自分自身と向き合い対話を重ねながら、自分の理想に近づいていくことです
ここまでで転職活動を始める前の事前準備は完了しました。あとは、小さな一歩でもいいので、実際に転職行動をはじめてみることです
この記事が「理想の会社」と出会うためのきっかけになれば嬉しいです
注意:転職は人生を豊かにする手段
転職軸マップを作るときは、自分自身のメンタルが安定している時に行ってください
仕事が辛くて、「もうすぐにでも辞めたい」という状態で取り組むと、どうしてもネガティブな方向に引っ張られやすくなります
しかし本来、転職は人生を豊かにする手段です
未来を想像してワクワクしたり、「こんな働き方がしたい」と明るい気持ちで向き合って欲しいです
心が疲れているときには、そうした発想すら難しくなってきます
だからこそ「ご利用は計画的に」で、そこは無理せず自分に合ったタイミングで取り組んでください