転職活動を始めたばかりだけど「社内の人間関係や業務にもう限界で、今すぐにでも会社を辞めたい」と感じている人もいるのではないでしょうか
- 人手不足の職場で、毎日多すぎる仕事に追われている
- 無茶な依頼や長時間の残業が当たり前になっている
- 家に帰っても、ただ寝るだけの毎日
こんな日々が続けば、心も体も疲れ切ってしまいます
転職活動をしているとはいえ、精神的にも余裕がなくなると、「自分に合った転職先が見つからない」「なかなか書類選考や面接が通過しない」と悩んでしまうこともあります
私自身も転職活動を始めたばかりの頃、同じような不安を感じていました
「このまま働き続けるのは無理。でも辞めたら生活するお金はどうしたらいいのか」そんな思いから、万が一に備えて、使える制度がないか調べるようになりました
- 会社を辞めたいけど、生活が不安な転職初心者の方
- 精神的・体力的に限界で、転職活動もうまくいかないと感じている方
- 失業給付は制度として知っているけど、どのように申請したらいいわからない方
上記の方々に向けて、万が一に備えるために理解をしておくといい制度として「雇用保険の中の失業給付(=基本手当)」について解説します
そして、この記事を読むことで以下のことがわかります
- 失業給付(=基本手当)について、いろんなサイトからの情報収集する手間が省ける
- 退職後に使える制度を理解することで不安を減らすことができる
- 焦って転職活動をしていた自分に気づいて「いったん立ち止まって休む」選択ができる
ぜひ参考にしていただければと思います
前提①|雇用保険について

失業給付について知る前に、まずは「雇用保険」について簡単におさえておきましょう。というのも、失業給付はこの雇用保険の中にある制度のひとつになります
働く方々が1日も早く再就職ができるように支援するための制度
雇用保険の目的を理解しておくと「失業給付」は何のためにある制度なのかがよくわかります。そのうえで、自分が給付の対象になるかどうかの判断材料になります
前提②|不正受給が発覚すると厳しい処分があります
失業給付は、仕事を探している方の生活を支える大切な制度です。ですが当然のことながら「不正受給」が発覚した場合には厳しい処分があることを、最初に理解しておきましょう
- 離職理由を偽って申告した
- 失業認定申告書に求職活動実績の虚偽の報告、書類を提出した
- 失業認定申告書に就職日、就労日の虚偽の報告、書類を提出した
- 自営業をしていたことを申告しなかった
- 就職やパート、アルバイトの仕事をしていたことを申告しなかった
このようなことが発覚すると法律の規定で発覚日以降の失業給付が受けられなくなります。そして、不正受給した全額を早急に返還しなければいけません
しかし、全額返還するだけでは終わらず「受給した金額の最大2倍の金額を追加納付」をすることになります
また、返還や納付に応じなかったさいは財産差押えなどの強制処分にまで発展します
- 不正受給:100万円+延滞金
- 不正受給した金額の2倍を納付:200万円(100万円✕2)
- 結果として不正受給した3倍の金額を返還することになる:1+2=300万円
失業給付は、働く人や事業主が支払っている保険料と税金で支えられています。「みんなで支え合う相互扶助の制度」だからこそルールを守ることがとても大切です
概要|失業給付について
失業給付は、正式には「基本手当」と呼ばれる制度です。この記事では、よりイメージしやすくするために「失業給付」という言葉で統一して解説していきます
まずは、失業給付を理解するうえで6つのポイントそれぞれについて解説をしていきます
- 失業給付を受給できる人
- 失業給付を受給できない人
- 失業給付日数(=所定給付日数)はどう決まるのか
- 失業給付日数(=所定給付日数)と受給期間はなにが違うのか
- 失業給付金額はどう決まるのか
- 失業給付の受給はすぐもらえるのか
失業給付を受給できる人
雇用保険に加入していた人が会社を辞めたあと、次の2つの条件を満たしていれば、失業給付が受けられます
就職する意思と能力があるのに、就職できない状態にあること=失業状態
①積極的に就職しようとする意思があること
②いつでも就職できる能力があること
③積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと
①原則:離職前の2年間に雇用保険に入っていた期間が通算12か月以上あること
②特定受給資格者・特定理由離職者の場合:1年間に通算6か月以上でもOK
→離職前の1か月ごとの区切りで見て「11日以上働いた月」または「80時間以上働いた月」を、1か月分の被保険者期間として数える
失業給付を受給できない人
以下の場合は、会社を辞めていても「失業状態」とは見なされず給付対象外になります
- 病気やケガですぐに就職することができない
- 妊娠や出産、育児ですぐに就職できない
- 親族の看護などですぐに就職することができない
- 定年退職してしばらく休養する
- 結婚して家事に専念し就職を希望しない
- 家事手伝いや農業、商業など家業に従事し、就職することができない
- 自営業をしている(準備を含む) ※収入の有無は関係ない
- 就職している(見習い、試用期間、研修期間を含み、収入の有無は関係ない)
- 学業に専念する(昼間の学校に通っていて、すぐに就職することができない)
- 次の就職が決まっている(雇用予約・内定を含む)
ただし、1〜4は、事情によって「受給期間を延長」できる場合があるので、最寄りのハローワークへ確認と相談をしてみてください
失業給付日数はどう決まるのか
給付日数(=所定給付日数)は以下の3つの要素で決まります
- 離職した日の年齢
- 被保険者として雇用されていた期間(働いていた期間)
- 離職理由
また「3.離職理由」によっては、給付日数(=所定給付日数)が大きく変わってきます
離職理由については、離職票に記載されている理由や証明する資料などに基づいて、ハローワーク側が確認し判断します。そのうえで、失業給付の扱いは以下の2つのいずれかに分けられます
- 特定受給資格者:倒産・解雇など、再就職の準備をする時間の余裕がなく離職した人
- 特定理由離職者:労働契約期間の満了ややむを得ない理由により離職した人
2つの要素と区分をもとに、実際に何日分の給付が受けられるのかが決まります
次の表では、年齢・雇用期間・離職理由ごとに決まる所定給付日数の目安を確認できます。自分がどのパターンに当てはまりそうかを確認してみてください

上記表の②に該当し、被保険者期間は15年、歳は38歳
→この場合の給付日数は240日に該当する
失業給付日数(=所定給付日数)と受給期間はなにが違うのか
「給付日数(=所定給付日数)」と「受給期間」という言葉は、似ているようで全く意味は違います。ここで整理をしておきましょう
- 失業給付を受け取れる最大の日数のこと
- 離職した日の年齢、離職理由、雇用保険の加入期間によって日数が決まる
- 失業給付を受け取れる期限のこと
- 原則として「離職した日の翌日から1年間」と定められている
※給付日数(=所定給付日数)が330日の方は「1年間+30日」
※給付日数(=所定給付日数)が360日の方は「1年間+60日」
また、受給期間について、仮に手続きを直ぐにせず1年を切ってしまった場合どうなるのか、以下の事例を参考にしてみてください

上記の場合、90日分の支給を受けた時点で受給期間が終了します。受給期間が原則1年間と決まっているため、本来受給できるはずの30日分の支給は無しとなります
ただし、やむを得ない理由があれば受給期間の延長も認められていますが、可能な限り早めに受給の申請をすることをおすすめします
失業給付の金額はどうやって決まるのか
失業給付でもらえる金額は、次の3つのステップで計算されます
- 離職前の6ヶ月間の賃金総額÷180日=賃金日額
- 賃金日額✕給付率(最低45%〜最大80%)=失業給付日額
- 失業給付日額✕給付日数(=所定給付日数)=給付総額
給付日数(=所定給付日数)については、年齢・雇用保険の加入期間・離職理由などにより人それぞれ異なります(前の章で解説した内容です)
失業給付はすぐ支給されるのか
結論から言うと、失業給付は申請してすぐに受け取れるものではありません
次に詳しく解説しますが、ハローワークで正式な手続きを行い「失業状態」と認定されること、さらに毎月求職活動の実績を積み重ねていくことではじめて、受給が始まる仕組みになっています
そのため、申請が完了した直後にお金が支給されるわけではないという点は、最初にしっかり理解しておきましょう
申請|失業給付を受給するまでの具体的な手続きについて
ここからは失業給付を受給するまでの具体的な手続きについて解説をしていきます
失業給付を受給するまでの全体像について
失業給付を受け取るまでの流れを、図でわかりやすくまとめました。はじめての方でもイメージしやすいように整理していますので、ぜひ参考にしてください

退職前に必ずやるべきことについて
退職する前に必ずやるべきことは、以下の3点になります
- 雇用保険被保険者証の有無の確認
- 会社に離職証明書申請の確認
- 会社から離職票-1・離職票-2を受け取る
1つ1つ丁寧に解説をしていきます
雇用保険被保険者証の有無の確認
雇用保険に加入したときに発行される書類になります。「被保険者番号・氏名」が書かれた重要な書類になり、失業給付の受給申請に必要となります
この雇用保険被保険者証が「自分の手元」にあるのか「会社が保管」しているのか事前に確認しておきましょう
もし紛失してしまった場合は、最寄りのハローワークへ再交付申請を必ずしておいてください
会社に離職証明書申請の確認
離職証明書は「離職日までに働いていた期間と賃金の支払い」「離職理由」といったものを証明するものになり、会社がハローワークへ提出する書類になります
離職証明書については、会社側から何の連絡もなければ自分から会社に申請を依頼してください
これを会社側からハローワークへ申請手続きをしてもらわないと失業給付の申請ができません。必ず離職する前に確認をしておきましょう
会社から離職票-1・離職票-2を受け取る
離職証明書をもとに「離職票-1・離職票-2」という書類が発行されます。これを必ず受け取り、自らハローワークに提出する必要があります
離職票については、会社側と受け取り方法(離職後に取りに行く、自宅へ郵送など)を相談しておくとハローワークでの手続きもスムーズになります
離職票-1:個人番号や失業手当の振込先として指定する金融機関の書類
離職票-2:離職する日までの賃金支払い状況や離職理由が記載されている書類
ハローワークに行く前に準備しておきたいこと
ハローワークで失業給付の手続きを行う前に、以下の6点を準備しておきましょう
- 雇用保険被保険者証
- 離職票-1・離職票-2
- 個人番号確認できる書類
- 身元を証明できるもの
- 証明写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)✕2枚
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
※3〜5は「マイナンバーカード」があれば省略できます
マイナンバーカードがあると手続きをするうえで楽に進められますので、持っている方は必ず忘れないように持参してください
ハローワークに行き失業給付の申請をする
ハローワークでの手続きは、必要書類を揃えて提出するだけでなく、再就職の意思を示す求職申込みも同時に行う必要があります
- 離職票-1・離職票-2などの必要書類を提出
- 求職申込書を記入し提出する(お手持ちのスマホ・PCからでも事前申込が可能)
- 職業相談を受ける
- 雇用保険受給資格者のしおりを受け取る
- 雇用保険説明会の日時決定
必要書類を提出し、あわせて求職申し込みをした日のことを「受給資格決定日」といい、この日から待機期間が始まります
7日間の待機期間について
これはあなたが「失業状態であることを確認する」期間になります
受給資格決定日から通算7日間の「待機期間」が設けられます。この待機期間をしなければ、失業給付の受給はできませんので必ず守るようにしましょう
雇用保険説明会について
7日間の待機期間が終了すると、事前に決められていた日時で「雇用保険説明会」に出席します。説明会に参加しないと失業給付の受給はできませんので必ず出席しましょう
- 雇用保険制度について
- 失業給付の流れと注意点
- 雇用保険受給資格者証の見方
- 失業認定申告書の記入方法と提出方法
説明会終了後に雇用保険受給資格者証が交付されます。この証書には、失業認定日・所定給付日数・受給満了日などが記載されており、今後の手続きに必要な重要書類になります
失業認定期間の過ごし方から失業給付の受給について
失業認定期間中は求職活動の実績が必要となります。その実績を失業認定申告書に記載し、原則4週間に1回ハローワークへ提出しなければいけません
- 求人に応募する
- ハローワークが行う職業相談や職業紹介を受ける
- 許可、届出がある民間機関が行う職業相談や職業紹介を受ける
上記は一例ですが、前回の失業認定日から今回の認定日の前日までに原則2回以上の求職活動の実績が必要です。(初回の認定日は1回の求職活動の実績が必要)
あわせて求人活動の実績に含まれないものもありますので、以下の例を参考にしてください
- ハローワークや新聞で求人情報を閲覧しただけ
- インターネットで求人情報を検索しただけ
- 知人に就職先の斡旋を依頼した
失業認定日の前日までに正式な手続きを済ませ、失業認定が無事に通ると、認定日からおおよそ1週間前後で給付金が指定の口座に振り込まれます
失業認定申告書の書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事でわかりやすく解説していますので、あわせて参考にしてみてください
最後に
失業給付は一言でいえば「再就職の意思がある人を給付金でサポートする制度」です
制度を理解するには少し時間がかかるかもしれませんが、離職してから次の職業を探すまでの一定の期間、金銭的なサポートを受けられるというのは精神的にも支えになります
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、失業給付の申請に少しでも役立てば嬉しいです